最近、「自宅に旅行者を有料で泊めても良いか?」と良く聞かれます。
よく耳にする「民泊」の話しです。

まず、最初に確認すべき法律は、旅館業法です。
旅館業法の許可が必要となる施設とは、
1. 宿泊料を受けている。
2. 寝具を使用して施設を利用する。これには宿泊者が寝袋を持参した場合も含まれます。
3. 宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任者が営業者にあるものと社会通念上認められること。
4. 宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として営業しているもの。

まず、宿泊者を有料で泊め、布団も用意するわけですから「1」と「2」には該当します。
次に、「4」の「生活の本拠を有さない」とする日数ですが、基準日数が明確に提示されているわけではないので、申請窓口での確認が必要ですが目安としては、概ね1ヶ月程とみられているようです。

残りの「3」ですが、この解釈が人それぞれによって異なるようです。この意味は、これらのことを『営業行為』として行っているのか否かということです。

旅館業は、商法第502条の営業的商行為の7項に分類されます。
この「営業的商行為」とは、営利目的で反復継続して行っている行為をいいます。該当する場合は、営業行為となります。

次に、「許可」とは何か? を考えます。
許可とは『禁止された行為が一定の条件をクリアすると(許可)がもらえる』という位置づけです。
つまり、許可基準を満たし、許可申請を行い、許可が下りてやっと営業が開始できるというものです。

旅館業の区分は4つありますが、部屋数だけを見てもホテル営業は10室以上、旅館営業は5室以上必要ですし、簡易宿所営業は多数人で共有して使いますので知らない人同士が同室に入る可能性があります。残りの下宿営業も一か月以上の期間を単位とする宿泊施設です。

仮に、いずれかの営業区分に該当するとします。

その場合、その土地(場所)で宿泊施設を営業できるか用途を確認したり、必要な構造設備基準を満たしているか、食事を提供するなら食品衛生関連の許可も必要になるでしょう。
その他も色々と確認事項や手配することがあります。

では、反復継続的にするのではなく、あくまでも営業行為としてやっているわけではない場合はどうでしょうか?
規制上、許可なしでできることになりますが、

質問のように「自宅に旅行者を泊めてもよいか?」と、役所に尋ねると、多くの担当者は、違法性を指摘します。

旅行用スーツケースをガラガラと引いて外国人が来ると、当然近所の方々の目に触れます。

昨年、無許可ホテル営業経営で英国籍の逮捕者も出ており、近所に住む人達からも不特定多数の外国人の目撃が報告されています。

通報によって表ざたになる場合もありますので、「民泊」営業をする際は、管轄の行政窓口や専門家に相談し、関連法令や条例を確認する必要があります。